令和7年度 上期 機械 問5
同期発電機を並列運転するための3条件と、確認に使う計器

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
語句の穴埋め。並列運転(同期投入)の条件を覚えているかを問う定番の問題である。
同期発電機を既に動いている系統や他の発電機に並列につなぐには、次の**3つが一致**していなければならない。
1. **周波数**が等しい 2. **電圧の大きさ**が等しい 3. **位相**が一致している
問題文は「両発電機の(ア)に加えて、電圧の大きさ及び(イ)が一致していなければならない」という形なので、(ア)が**周波数**、(イ)が**位相**になる。 (このほか、三相では相回転の向きが同じであることも前提として要る)
そして、この3条件がそろったことを確認する計器が**同期検定器(シンクロスコープ)**。(ウ)はこれ。
同期検定器は、2つの電源の位相差を針の回転として見せる計器である。周波数が違うと針が回り続け、近づくほど回転がゆっくりになる。針が12時の位置で止まりかけたところが位相一致で、そこで遮断器を投入する。針の回る向きで、自分の発電機が速いのか遅いのかも分かるので、調速機で合わせ込める。
電流計や電圧計では位相が分からないので、(ウ)には使えない。周波数計も周波数しか見えず、位相の一致は確認できない。**3つまとめて見られるのが同期検定器だけ**というのが、この問題の答えの根拠である。
(ア)周波数、(イ)位相、(ウ)同期検定器。正解は(3)。
条件が外れたまま投入すると何が起きるかも押さえておきたい。位相がずれた状態でつなぐと、2つの電源の電圧差が瞬間的に大電流を生み、**発電機の軸に急激なトルクがかかる**。問題文の「並列と同時にじょう乱が発生する」はこれを指している。最悪の場合、軸が損傷する。
選択肢ごとの理由
- (1)(ア)の回転速度は、極数が同じなら周波数と対応するが、極数の異なる機械同士では一致しない。条件として正しいのは周波数。(ウ)の電流計では位相を確認できない。
- (2)(ア)力率は並列運転の条件ではない(並列後の分担で決まる量)。(イ)の「方向」も条件の名前として誤り。
- (3)正しい。周波数・電圧の大きさ・位相の3つを一致させ、同期検定器で確認してから投入する。
- (4)(イ)(ウ)が誤り。電圧計では大きさしか分からず、位相の一致は見えない。
- (5)(ウ)の周波数計では周波数しか分からない。位相の一致まで確認できるのは同期検定器。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
同期投入は、データセンターの非常用発電機で実際に行う操作である。教科書の話がそのまま現場の手順になる、数少ない項目のひとつ。 **① 発電機同士の並列運転** 大規模なデータセンターは非常用発電機を複数台持ち、負荷に応じて並列運転する。停電を検知して各機が起動したあと、この3条件をそろえてから母線に投入する。いまは自動同期投入装置が行うが、装置が見ているのは同期検定器と同じ3つである。 **② 系統への逆送(商用への復帰)** 停電が復旧したとき、発電機から商用へ切り戻す方法は2つある。いったん負荷を切ってから商用へつなぐ(瞬断あり)か、発電機と商用を一瞬だけ並列にして無瞬断で移す(同期切替)か。後者を選ぶなら、まさにこの3条件をそろえる必要がある。データセンターでは瞬断を嫌うので同期切替を採ることが多い。 **③ 月次試験でのリスク** 非常用発電機の試験を「系統に並列したまま」行う場合も同期投入になる。ここで位相がずれたまま投入すると、大電流と衝撃トルクで発電機を壊す。だから自動同期投入装置には、条件が外れているときに投入を阻止するインターロックが入っている。**試験のたびにこのインターロックが生きているかを確かめる**のが、電気主任技術者の仕事になる。 「条件がひとつでも外れていたら投入しない」という設計思想は、UPSのバイパス切替でも同じである。切り替える前に、切り替え先の電圧と位相が合っていることを確認する。合っていなければ切り替えない——守るべきものが大きいほど、この慎重さが要る。
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