令和7年度 上期 機械 問3
三相かご形誘導機の性質(誤りを1つ選ぶ・アルミダイカスト回転子の適用範囲)

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
誤りは(4)の「**大容量**の電動機にはアルミダイカスト回転子が広く用いられている」。アルミダイカスト回転子が使われるのは**小容量機**である。正解は(4)。
かご形回転子の作り方は容量で2つに分かれる。
**小容量機:アルミダイカスト** 溶かしたアルミを鉄心のスロットに流し込み、端絡環まで一体で鋳造する。型に流すだけなので安く早く作れるが、大きな型を均一に鋳込むのは難しく、大きさに限界がある。
**大容量機:棒状導体(バー)** 銅やアルミの棒をスロットに差し込み、両端を端絡環にろう付け・溶接する。手間はかかるが、大きな断面の導体を確実に入れられ、機械的にも丈夫になる。選択肢(5)が「回転子に棒状導体を用いている…機械的に過酷な使用に耐えられる」と言っているのがこれで、(4)と(5)は同じ話の裏表になっている。
残りも確認しておく。
**(1)** かご形は回転子に巻線もスリップリングもブラシもないので、巻線形より構造が簡単で安い。正しい。
**(2)(3)** 誘導機は同期速度を**超えて**回されると発電機になる。このとき滑り s = (Ns − N)/Ns は N > Ns なので**負**になる。小水力発電や風力発電で誘導発電機が使われるのは、系統に並列するだけで発電でき、同期発電機のような同期投入の手順が要らないからである。(2)(3)とも正しい。
選択肢ごとの理由
- (1)正しい。かご形は巻線形のようなスリップリング・ブラシ・二次抵抗器が不要なので、構造が簡単で安価、保守も楽。
- (2)正しい。誘導発電機として、一部の小水力発電や風力発電に採用されている。同期投入の操作が不要なのが利点。
- (3)正しい。同期速度を超えて回されると滑り s = (Ns−N)/Ns が負になり、発電運転になる。
- (4)これが誤り。アルミダイカスト回転子は小容量機に用いる。大容量機は銅やアルミの棒状導体を端絡環に接合する構造にする。
- (5)正しい。棒状導体の回転子は機械的に強く、過酷な使用や大容量に耐えられる。(4)の裏返しの記述になっている。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
データセンターで動いているモータは、ほぼすべてが三相かご形誘導電動機である。冷却水ポンプ、冷却塔のファン、空調機の送風機、冷凍機の圧縮機、排煙ファン——動くものはたいていこれで、**構造が簡単でブラシがなく、保守がほとんど要らない**という(1)の性質がそのまま採用理由になっている。 24時間365日止められない設備で、消耗部品(ブラシ)を持つ機種は使いづらい。かご形が選ばれるのは性能というより、**壊れる部品が少ない**からである。 点検で見るのも、そのぶん限られる。絶縁抵抗、軸受の振動と温度、電流のアンバランス、この3つを傾向で追う。とくに電流のアンバランスは、電源側の電圧不平衡か、回転子のバー(棒状導体)の折損やろう付け部の剥離を示すことがある。この問題が言っている棒状導体の話は、**大容量機の故障モードとして実在する**。冷凍機の圧縮機のような大きな機械では、始動と停止を繰り返すうちにバーの接合部が疲労する。 (2)(3)の「同期速度を超えると発電機になる」という性質も、現場で意味を持つ。冷却塔のファンは、送風を止めても煙突効果で外気が抜けて回り続けることがある。この状態でインバータから電圧を加えると、一瞬発電機として動作して過電流が出る。インバータに**回転中始動(フライングスタート)**の機能があるのはこのためで、回っている速度を検出してから合わせて投入する。
LINEで受け取る(無料・1タップ)
機械科目の伸ばし方を、あなたの取りこぼしに合わせて返します
解説を書いている人間がそのまま答えます。DC設備職 キャリアマップつき。求人を送りつけることはしません。
合格したあとの話
この資格で、どの現場に行けるのか
本サイトは有料職業紹介事業者(許可番号 13-ユ-316867)が運営しています。 ビルメンテナンスや工場設備からデータセンターに移った人が、どの資格の段でどう条件が変わっているのか。 5問の診断から、転職の相談まで無料で受けられます。