令和7年度 上期 機械 問10
降圧チョッパの負荷電流の平均値

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
回路図を見て、これが**降圧チョッパ**だと分かれば1行で終わる。
回路の形を確認する。電源 E にスイッチ S が直列に入り、その先に還流ダイオード D が並列、そこから平滑リアクトル L を通って負荷抵抗 R へ——これは降圧チョッパ(バックコンバータ)の標準的な構成である。
**降圧チョッパの出力電圧の平均値は、通流率 d に電源電圧を掛けたもの。**
V出力 = d × E = 0.6 × 400 = **240 V**
スイッチが閉じている間だけ電源電圧が負荷側に現れ、開いている間はダイオードを通って電流が還流する(このとき負荷にかかる電圧は0)。だから時間平均すると、オンしている割合ぶんだけの電圧になる。
**負荷電流の平均値**は、この平均電圧を負荷抵抗で割ればよい。
I = 240 / 10 = **24.0 A**
正解は(2)。
注意したいのは、問題文が与えている **L = 1 mH と f = 10 kHz は、この計算に使わない**という点である。これらはリプル(電流の脈動)の大きさを決める値で、平均値には効かない。平滑リアクトルが十分に効いて電流が連続していれば、平均値は d·E/R で決まる。
数字を使い切ろうとして L や f を式に入れようとすると迷走する。**何を問われているか(平均値か、リプルか、最大値か)で使う量が変わる**ことを意識したい。
40.0を選ぶのは通流率を掛け忘れた場合(400/10)、16.0を選ぶのは通流率を 1−d = 0.4 と取り違えた場合(昇圧チョッパと混同)である。
選択肢ごとの理由
- (1)40.0Aは通流率を掛け忘れた場合(400V÷10Ω)。スイッチがオンの間だけ電源電圧がかかるので、平均は0.6倍になる。
- (2)正しい。降圧チョッパの平均出力電圧は dE = 0.6×400 = 240V、電流は 240/10 = 24.0A。
- (3)16.0Aは通流率を 1−d = 0.4 として計算した場合。降圧チョッパの出力は d に比例する。
- (4)3.8Aは、L や f を式に入れて計算した場合に出やすい値。平均値の計算にリアクトルと周波数は使わない。
- (5)2.5Aも同様。これらはリプルの大きさを決める量であって、平均値には効かない。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
降圧チョッパは、データセンターの中で**最も数が多い回路**かもしれない。サーバの内部にも、ネットワーク機器の中にも、必ず入っている。 サーバ電源は、まず商用交流を整流して直流12Vなどを作り、そこからマザーボード上のDC-DCコンバータ(これが降圧チョッパ)でCPU用の1V前後、メモリ用の1.2Vなどへ落としている。CPUの消費電流は数十〜100Aを超えるので、この降圧回路の効率がサーバ1台の発熱を左右する。 **通流率で出力を決める**というこの問題の原理が、そのまま制御に使われている。CPUの負荷が変われば必要な電流も変わるが、通流率を高速に調整して電圧を一定に保つ。スイッチング周波数を高くするほどリアクトルとコンデンサを小さくできるので、基板上の回路は数百kHz〜MHzで動いている。この問題の10kHzは電力用の周波数である。 もうひとつ、データセンター全体の設計にも関わる。近年は**直流給電(HVDC・380V直流配電)**が注目されており、ここでも降圧チョッパが基幹部品になる。交流と直流の変換回数を減らせば、そのぶん損失が減るという発想である。 実務で気をつけるのは、この回路が**高調波とノイズの発生源**でもあるという点。スイッチングのたびに急峻な電流変化が起きるので、系統側には高調波電流が、周囲にはノイズが出る。データセンターの受電設備に高調波対策(直列リアクトル、アクティブフィルタ)が要るのは、建物じゅうにこの回路が何万個も入っているからである。 「小さな回路だが数が多い」——これがデータセンターの電力設計を難しくしている。
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