令和7年度 上期 機械 問2
始動電流から電機子抵抗を求め、定格運転時の効率を出す

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
**始動時は逆起電力がゼロ**。ここに気づけば2行で終わる。
**手順1:電機子抵抗を出す。** 回転を始める前は回転していないので逆起電力E = 0。回路には電源電圧と電機子抵抗しかない。
Ra = V / I始動 = 12 / 4 = **3 Ω**
**手順2:定格運転時の入力を出す。** P入力 = V × Ia = 12 × 1 = **12 W**
**手順3:損失を出す。** 問題文は「損失は電機子巻線による銅損しかない」と断っている。 P銅損 = Ia² × Ra = 1² × 3 = **3 W**
**手順4:効率を出す。** P出力 = 12 − 3 = 9 W η = 9 / 12 = 0.75 = **75%**
正解は(2)。
この問題の要は、**始動電流が電機子抵抗を測るための情報になっている**という読み替えである。「始動電流4A」と書かれていると電流の話に見えるが、実際には抵抗を教えてくれている。
もうひとつ、「界磁に永久磁石を用いた」という前置きも効いている。永久磁石なので界磁損(界磁巻線の銅損)が存在せず、界磁電流も流れない。だから電源から流れる1Aがそのまま電機子電流になる。界磁巻線があるタイプなら、電源電流と電機子電流を分けて考える必要があった。
80%を選んでしまうのは、逆起電力E = V − IaRa = 12 − 3 = 9V を出したあと、9/12ではなく別の組み合わせで割ってしまう場合。出力=EIa = 9×1 = 9W と考えても同じ答えにたどり着く。
選択肢ごとの理由
- (1)80%は損失を 12×(1/4) などと見積もった場合に近い。銅損は Ia²Ra で、電流の2乗で効く。
- (2)正しい。Ra = 12/4 = 3Ω、銅損 = 1²×3 = 3W、η = (12−3)/12 = 75%。
- (3)70%になる筋道はない。入力12W・損失3Wの引き算をやり直す。
- (4)65%も同様。始動電流から求めた Ra = 3Ω を使い、定格電流1Aで銅損を出す。
- (5)60%は、始動電流4Aをそのまま定格時の電流として銅損を計算した場合に近い。定格運転時の電流は1A。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
「入力から損失を引いたものが出力」という効率の出し方は、データセンターの電源系統をたどるときに何度も繰り返される。 受電点からサーバのCPUまでの間には、変圧器・UPS・分電盤・ラックのPDU・サーバ内部の電源ユニットと、5段階ほどの変換が入る。それぞれの効率が95%でも、5回掛ければ 0.95⁵ ≒ 0.77 で、23%が熱になって消える。しかもその熱を冷やすためにまた電気を使う。**効率の話が二重に効く**のがデータセンターの特徴である。 この問題が教えている「銅損は電流の2乗に比例する」という点も、そのまま設計に返ってくる。負荷が2倍になれば銅損は4倍。逆に言えば、**軽負荷のときは損失が極端に小さい**。UPSや変圧器の効率曲線が、負荷率30〜70%あたりで最も良くなり、軽負荷でも高負荷でも落ちるのはこのためである(軽負荷では鉄損や待機電力が相対的に大きくなる)。 実務では、この特性を知らずに「冗長構成だから2台を50%ずつで運転する」としたまま、両方が効率のよくない領域に入っていることがある。UPSのエコモードや、負荷に応じて並列運転台数を減らす制御(冗長性は保ったまま)は、効率曲線の山を狙う工夫である。 電気主任技術者が変圧器やUPSの負荷率を毎月記録しているのは、容量の余裕を見るためだけでなく、**いま効率のよい領域で運転できているか**を見るためでもある。
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