令和6年度 下期 理論 問4

同じ向きに電流が流れる平行な2本の直線導体に働く電磁力の向き

理論A問題配点 5点
令和6年度 下期 理論 問4 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

結論は「同じ向きの電流は引き合い、逆向きの電流は反発する」。これを座標の向きに翻訳できるかを問われている。

まず座標を読む。枠内の図で ⊗ に y が添えてあるので、+y 方向は紙面の表から裏へ向かう向き。+x は右、+z は上。両導体とも電流は +y(紙面の奥へ)に流れている。

導体Aに働く力を、導体Bがつくる磁界から求める。紙面の奥へ流れる電流のまわりには、右ねじの法則で時計回りの磁界ができる。時計回りの円の左端では、磁界は上向き(+z)になる。導体AはBの左にあるので、Aの位置でのBの磁界は +z。

電流の向き +y と磁界の向き +z からフレミングの左手の法則(ベクトルで書けば F = I l × B)で力を出すと、y × z = x なので、Aに働く力は +x 方向(Bのほうへ)。

同じ考え方でBを見ると、Aがつくる時計回りの磁界の右端ではBの位置の磁界は −z。力は y × (−z) = −x で、Bに働く力は −x 方向(Aのほうへ)。

2本は互いに引き合い、Aは +x、Bは −x。正解は(2)。

落とし穴は、同じ向きの電流を「反発する」と覚え違えること。電荷の同符号が反発するのとは逆になる、と対にして覚えておくとよい。

選択肢ごとの理由

  • (1)両方とも +x では、2本が同じ向きに動くことになる。作用反作用の法則から、2本に働く力は必ず逆向きで同じ大きさになる。
  • (2)正しい。同じ向きの電流は引き合うので、Aは Bの側(+x)、Bは Aの側(−x)へ力を受ける。
  • (3)Aが −x、Bが +x は互いに離れる向き(反発)。これは電流が逆向きのときの答え。
  • (4)両方とも −x では、2本が同じ向きに動くことになり、作用反作用に反する。
  • (5)電流が流れていれば、平行な導体どうしには必ず電磁力が働く。力が働かないのは、どちらかの電流がゼロのとき。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

平行導体に働く電磁力は、データセンターの幹線設備で短絡事故が起きたときに実際に問題になる。大容量のDCでは、変圧器の二次側から配電盤やUPSまでをバスダクトや太いケーブルの束で送っており、通常時でも数千Aの電流が流れている。 普段の電流では力は小さいが、短絡すると電流が数十kAに跳ね上がる。電磁力は2本の電流の積に比例するので、電流が10倍になれば力は100倍になる。三相の導体は流れる向きが時々刻々と入れ替わるため、引き合ったり反発したりを繰り返し、ブスバーの支持碍子が折れたり、ケーブルが暴れて固定金具から外れたりする。配電盤やバスダクトのカタログに「短時間耐電流」「短絡強度」が書いてあるのは、この機械的な力に耐えられるかを示している。 設備の増設で変圧器を大きくしたり並列運転にしたりすると、短絡電流が増えて既存の盤の短絡強度を超えることがある。電気主任技術者が増設計画で短絡電流を計算し直すのは、遮断器の遮断容量と並んで、この電磁力への強度を確かめるためでもある。

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