令和6年度 下期 理論 問10

コンデンサを含む直流回路で、スイッチを入れた瞬間と定常状態の電流の比

理論A問題配点 5点
令和6年度 下期 理論 問10 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

直流回路のコンデンサは、瞬間と定常で振る舞いが正反対になる。ここを2つの状態に分けて、それぞれ別の抵抗回路として解く。

【スイッチを閉じた瞬間(t = 0)】 初期電荷ゼロのコンデンサは、電圧がゼロのまま電流だけを流せるので短絡(導線)とみなせる。すると C と 4 Ω の枝は 4 Ω だけの枝になり、12 Ω と並列になる。 並列部分 = 4×12/(4+12) = 48/16 = 3 Ω 回路全体 = 6 + 3 = 9 Ω I₀ = E/9

【十分に時間が経った定常状態】 コンデンサは充電が終わって電流を流さなくなるので開放とみなせる。C と 4 Ω の枝には電流が流れず、電流は 12 Ω の枝だけを通る。 回路全体 = 6 + 12 = 18 Ω I = E/18

点 A は 6 Ω と直列の位置なので、回路全体の電流がそのまま流れる。 I₀/I = (E/9)/(E/18) = 18/9 = 2.0。正解は(4)。

落とし穴は、瞬間と定常の扱いを逆にすること。逆にすると I₀/I = 9/18 = 0.5 となり、(1)の選択肢に乗る。「最初は空っぽなので電流を素通しし、満タンになると止める」とイメージで覚えておくと取り違えない。

選択肢ごとの理由

  • (1)0.5 は比を逆にとった場合、または瞬間を開放・定常を短絡と扱いを逆にした場合(9/18)。
  • (2)1.0 はコンデンサの影響を考えず、瞬間も定常も同じ回路だとみなした場合。実際は瞬間だけ 4 Ω の枝が並列に加わるので、電流が大きくなる。
  • (3)1.5 になる素直な筋道はない。t = 0 で並列部分が 3 Ω、定常で 12 Ω になることを確認する。
  • (4)正しい。t = 0 は 6 + (4∥12) = 9 Ω、定常は 6 + 12 = 18 Ω、比は 18/9 = 2.0。
  • (5)2.5 になる素直な筋道はない。全体の抵抗の比 18/9 をとれているかを確認する。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

「電源を入れた瞬間、空のコンデンサは短絡に見える」ことは、データセンターでは突入電流の問題としてそのまま出てくる。サーバの電源ユニットやUPSの直流部には大容量の平滑コンデンサが入っていて、電源を入れた瞬間はこれが短絡に近い状態で充電電流を吸い込む。この問題で瞬間の電流が定常の2倍になったように、実機では定常の数倍から数十倍の電流が短時間流れる。 機器側では、充電抵抗(プリチャージ抵抗)を直列に入れて突入電流を抑え、充電が進んだところでリレーで抵抗を短絡する回路が組まれている。この問題の 6 Ω のように、コンデンサと直列に入った抵抗が瞬間の電流を決めるという構造と同じである。 運用側で効いてくるのは、停電復旧や計画停電のあとにラック単位で一斉に電源を入れる場面。数十台のサーバの突入電流が重なるとPDUや分電盤のブレーカが落ちるので、電源の投入を時間差で行うシーケンス投入の設定や手順を用意しておく。定常の電流だけでブレーカ容量を決めていると、この瞬間に足をすくわれる。

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