令和6年度 下期 理論 問1
比誘電率の違う2層の誘電体を挟んだ平行平板コンデンサに蓄えられる電荷

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和6年度 下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
誘電体が電極と平行に2層重なっているときは、「2つのコンデンサの直列」と見る。これで解ける。
層と層の境目に薄い電極を1枚差し込んでも、電界の形は何も変わらない。だから上の層(ε₁ = 2、厚さ2 mm)と下の層(ε₂ = 4、厚さ4 mm)を、それぞれ独立したコンデンサとして計算してよい。
上の層は C₁ = ε₀ε₁S/d₁ = 8.85×10⁻¹² × 2 × 0.1 / (2×10⁻³) = 8.85×10⁻¹⁰ F。
下の層は C₂ = ε₀ε₂S/d₂ = 8.85×10⁻¹² × 4 × 0.1 / (4×10⁻³) = 8.85×10⁻¹⁰ F。比誘電率も厚さも2倍なので、偶然 C₁ と同じ値になる。
直列の合成容量は C = C₁C₂/(C₁ + C₂)。同じ値の2つの直列なので半分になり、C = 4.425×10⁻¹⁰ F。
電荷は Q = CV = 4.425×10⁻¹⁰ × 12 = 5.31×10⁻⁹ C。正解は(1)。
落とし穴は、層を「並列」と取り違えて C₁ + C₂ を使うこと。電極と平行に積み重なっているときは直列、電極と垂直に(左右に)並んでいるときは並列。電荷が層を順に通り抜ける向きかどうかで見分ける。
選択肢ごとの理由
- (1)正しい。2層を直列とみて C₁ = C₂ = 8.85×10⁻¹⁰ F、合成 4.425×10⁻¹⁰ F、Q = 12 × 4.425×10⁻¹⁰ ≒ 5.3×10⁻⁹ C。
- (2)7.8×10⁻⁹ C になる素直な筋道はない。層ごとの容量を出して直列合成しているかを確認する。
- (3)9.4×10⁻⁹ C になる素直な筋道はない。比誘電率を平均したり厚さを取り違えたりしても、この値にはぴったり一致しない。
- (4)2.1×10⁻⁸ C は2層を並列とみて C₁ + C₂ = 1.77×10⁻⁹ F とした場合の値(12 × 1.77×10⁻⁹ ≒ 2.1×10⁻⁸)。電極と平行に積み重なった層は直列。
- (5)4.5×10⁻⁸ C になる素直な筋道はない。正しい値の約8.5倍で、桁の感覚からも大きすぎる。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
「絶縁物が何層か重なっていると、それぞれに電圧が分かれてかかる」という見方は、データセンターの高圧設備の絶縁を考えるときの土台になる。6.6 kVで受電するDCでは、高圧ケーブルの絶縁体、変圧器の巻線間の絶縁、受電盤の碍子など、絶縁物が層になっている箇所がいくつもある。 直列のコンデンサでは、容量の小さい層ほど大きな電圧を受け持つ。絶縁物の中に空気の隙間(ボイド)や水が入り込むと、そこだけ比誘電率が違う層ができ、電界がその層に集中して部分放電が起きる。高圧ケーブルが何年もかけて劣化して最後に地絡事故を起こすのは、多くがこの形である。 年次点検で高圧ケーブルの絶縁抵抗や誘電正接(tanδ)を測るのは、この層のバランスが崩れていないかを外から見るため。停電を伴う点検の時間を取ってでも測る理由が、2層コンデンサの計算から見えてくる。
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