令和7年度 上期 理論 問18
エミッタホロワの動作点の設計と、交流等価回路からの入力インピーダンス


出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
(a) R_E を求める
直流の動作点を決める計算。ベース電流は無視してよいと問題文が言っているので、R₁ と R₂ は単なる分圧回路として扱える。
ベース電位 V_B = V_CC × R₂/(R₁+R₂) = 9 × 6/(3+6) = 6 V
ベース-エミッタ間は 0.7 V と与えられているので V_E = 6 − 0.7 = 5.3 V
エミッタ電流を 2 mA にしたいので R_E = 5.3/0.002 = 2650 Ω = 2.65 kΩ ≈ 2.7 kΩ
正解は(3)。
(b) 入力インピーダンスを求める
エミッタホロワの特徴がそのまま数字に出る問題。図2の等価回路で、入力端子から右を見ると2つの枝が並列になっている。
1つめはバイアス抵抗の並列 R₁∥R₂ = 3×6/(3+6) = 2 kΩ
2つめはトランジスタのベースから見た抵抗。ベース電流 i_b が h_ie を通り、R_E には i_b と h_fe·i_b が合流して (1+h_fe)i_b が流れる。したがってベースから見た電圧は v = h_ie·i_b + R_E·(1+h_fe)i_b となり、抵抗としては h_ie + (1+h_fe)R_E = 2.5k + 301 × 2.65k ≈ 2.5k + 798k ≈ 800 kΩ
R_E が h_fe 倍されて見えるのがエミッタホロワの肝。
入力インピーダンスはこの2つの並列なので 2 kΩ ∥ 800 kΩ = 2×800/802 ≈ 1.995 kΩ ≈ 2.0 kΩ
正解は(1)。
ここが面白いところで、トランジスタ側は 800 kΩ もあるのに、並列に入っている 2 kΩ のバイアス抵抗が全体を決めてしまっている。「並列では小さいほうが支配する」という当たり前の関係で、せっかくの高入力インピーダンスが台無しになっている。実際の設計では、バイアス抵抗を大きくするかブートストラップを掛けてこれを避ける。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
エミッタホロワは電圧を増幅しない(利得がほぼ1)代わりに、入力インピーダンスが高く出力インピーダンスが低い。前段に負担をかけずに、後段を力強く駆動できる。この「間に挟んで受け渡す」役割は、データセンターの計測系でそのまま使われている。 温度センサ、電流センサ、絶縁監視装置。これらが出す信号はごく弱く、そのまま長いケーブルで監視盤まで引くと、ケーブルの抵抗や受け側の入力抵抗に食われて値が狂う。間にバッファ(エミッタホロワやオペアンプのボルテージフォロワ)を入れて、信号源には負担をかけず、ケーブルは低インピーダンスで駆動する。 この問題の後半で「せっかくの高入力インピーダンスがバイアス抵抗で潰れている」ことが出てきたのも、現場の教訓と同じ。計測系では、測る側の入力インピーダンスが低いと測定対象に影響を与えてしまう。DCでは何千点ものセンサ値を常時集めてPUEや温度分布を出しているので、その数字が信用できるかどうかは、こうした受け渡しの設計で決まっている。
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