令和7年度 下期 機械 問18
積分要素の負帰還ループを含む伝達関数と、そのボード線図


出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
**(a) 全体の伝達関数**
内側のループから片付ける。1/(jωT) が前向き、帰還は係数1の負帰還なので、閉ループは
G_閉 = (1/(jωT)) / (1 + 1/(jωT))
分母分子に jωT を掛けて整理すると
G_閉 = 1 / (1 + jωT)
これが1次遅れ要素になる。**積分要素を単位負帰還で囲むと1次遅れになる**、という定型として覚えてよい。
そのあとに K が直列に入るので
W(jω) = K / (1 + jωT) = 10 / (1 + j0.2ω)
正解は(2)。
**(b) ボード線図**
1次遅れ K/(1 + jωT) のゲイン特性は、次の2点で決まる。
・**低周波での値**: ω → 0 で |W| → K = 10。デシベルでは 20 log₁₀ 10 = **20 dB** ・**折れ点角周波数**: ω = 1/T = 1/0.2 = **5 rad/s**。ここから先は −20 dB/dec で下がる
低域が20 dBで、折れ点が5 rad/sになっている図を探すと(2)。
正解は(2)。
選択肢は「低域が20 dBか0 dBか」と「折れ点が0.2か5か0.5か」の組合せで作られている。低域が0 dBの(3)(4)(5)は K = 10 が抜けており、折れ点0.2の(1)(3)は T をそのまま折れ点にしてしまった誤り。折れ点は T ではなく **1/T** であることを押さえれば、2段階で1つに絞れる。
選択肢ごとの理由
- (1)低域20 dBは合っているが、折れ点が0.2 rad/s。折れ点は T ではなく 1/T = 5 rad/s。
- (2)正しい。(a) W = 10/(1 + j0.2ω)。(b) 低域20 dB、折れ点 ω = 1/T = 5 rad/s から −20 dB/dec。
- (3)低域が0 dBで、K = 10 のゲインが反映されていない。折れ点も0.2で誤り。
- (4)折れ点5 rad/sは正しいが、低域が0 dB。K = 10 なら20 dB持ち上がる。
- (5)低域0 dB・折れ点0.5 rad/sで、2箇所とも誤り。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
1次遅れとボード線図は、データセンターの制御系が「どこまで速い変化に追従できるか」を語るための共通言語になる。 分かりやすいのが空調の温度制御。サーバの発熱が急に増えても、室温が上がってセンサが検知し、冷水弁が開いて効き始めるまでには時間がかかる。これが1次遅れで、折れ点周波数より速い変動には追従できない。だから高密度ラックを入れるときは、制御の速さでは間に合わないぶんを**熱容量**(冷水の保有量やフリーアクセス床下の空気量)で吸収する設計にする。 UPSの電圧制御はこれよりずっと速く、応答は数ミリ秒。負荷が急変したときの電圧の落ち込み(過渡電圧変動)とその回復時間は、まさにこの周波数特性で決まる。サーバの電源が許容できる電圧の落ち込み時間はITICカーブという規格で決まっており、UPSの応答がそれに収まっているかが選定の条件になる。 「ゲインを上げると速くなるが、上げすぎると振動する」という関係も、ボード線図で位相余裕として読める。空調の制御パラメータを現場で調整するとき、闇雲に触るのではなくこの構造で考えられるかどうかが、落ち着かせられるかどうかを分ける。
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