令和7年度 下期 機械 問15
鉄損と銅損が等しくなる負荷率から、鉄損と全負荷銅損を求める


出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 下期 第三種電気主任技術者試験 機械科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
**(a) 鉄損**
効率の定義から損失の合計を出し、鉄損=銅損の条件で半分にする。
出力 P = 50 kV·A × 3/4 × 力率1 = 37 500 W 効率 η = 出力 / (出力 + 損失) なので 損失 = P(1/η − 1) = 37 500 × (1/0.982 − 1) ≈ 37 500 × 0.018330 ≈ 687 W
このとき鉄損と銅損が等しいので 鉄損 = 687 / 2 ≈ 344 W
正解は(5)。
**(b) 全負荷時の銅損**
鉄損は負荷が変わっても一定だが、銅損は電流の2乗、つまり**負荷率の2乗**に比例する。
3/4負荷での銅損は(a)と同じ344 W。全負荷はその 4/3 倍の負荷率なので
全負荷銅損 = 344 × (4/3)² = 344 × 16/9 ≈ 611 W
正解は(2)。
この問題の要点は「最大効率になるのは鉄損=銅損のとき」という定理の使い方。問題文が3/4負荷で両者が等しいと言っているので、この変圧器は3/4負荷付近で最も効率がよい設計だと分かる。逆に全負荷では銅損が鉄損の16/9倍になり、効率は少し落ちる。
計算では 1/0.982 − 1 の桁を落とさないこと。0.0183という小さい数なので、電卓を使わず概算すると誤差が選択肢をまたぐ。
選択肢ごとの理由
- (1)(a)536・(b)712 は損失を2で割らずに鉄損としてしまった場合に近い値。鉄損と銅損が等しいので損失合計の半分。
- (2)(a)472 は効率の式で出力と入力を取り違えた場合の値。
- (3)(a)425 は損失合計の計算で 1 − η を使った場合に出やすい値。効率は出力÷入力なので、損失は P(1/η − 1)。
- (4)(a)382 も同様に損失合計の求め方を誤った場合の値。
- (5)正しい。(a) 損失687 W の半分で鉄損344 W。(b) 344 × (4/3)² ≈ 611 W。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
「変圧器がいちばん効率のよい負荷率はどこか」という話は、データセンターの受変電設備でそのまま設計判断になる。 DCの変圧器は、将来の増設を見込んで最初から大きめに入れることが多い。ところが立ち上げ直後はサーバが少なく、負荷率が20〜30%しかない状態が何年も続く。この領域では銅損が小さい一方で**鉄損は負荷に関係なく出続ける**ので、効率が落ちてPUEを押し下げる。 対策は2つ。1つは、変圧器を複数台に分けて、負荷が少ないうちは1台だけ運転し、増えたら台数を増やす**台数制御**。もう1つが、鉄損の小さいアモルファス変圧器やトップランナー基準の高効率変圧器を選ぶこと。DCは24時間365日通電するので、わずかな鉄損の差でも年間の電力量では大きな金額になる。 この問題の「3/4負荷で最大効率」という設計は、まさにその考え方。実際に何%の負荷で使うかを見込んで、そこで効率が最大になる機器を選ぶ。銘板の効率だけを見て選ぶと、実際の使い方とずれる。
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