令和7年度 下期 法規 問5

低圧電線路の絶縁性能(漏えい電流は最大供給電流の2000分の1)

法規A問題配点 6点
令和7年度 下期 法規 問5 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 下期 第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

電技第22条(低圧電線路の絶縁性能)の数字と、そこからの計算。

**(ア) 2 000分の1** 条文は「使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の**2 000分の1**を超えないようにしなければならない」。この数字は暗記事項だが、電技には「1 000分の1」という規定が別に存在しないので、迷ったら2 000を選んでよい。

**最大供給電流** 変圧器の定格容量と二次電圧から求める。 I = 75 000 [V·A] / 105 [V] ≈ 714.3 A

**漏えい電流の許容最大値** I / 2 000 = 714.3 / 2 000 ≈ 0.357 A

単相2線式なので電線は2線あるが、条文が言っているのは電線路全体としての漏えい電流の上限で、電線1線当たりの値としてこの0.357 Aをそのまま使う。

したがって正解は(4)。

選択肢(5)の0.179 Aは、0.357をさらに2で割った値。「2線あるから半分」と考えてしまうと、この誤答に落ちる。逆に(2)の1.429 Aは1 000分の1として計算した値で、(ア)を取り違えると必ずこちらへ行く。数字と計算の両方が用意された選択肢になっているので、条文の2 000分の1を確実に押さえることが得点に直結する。

選択肢ごとの理由

  • (1)(ア)を1 000分の1とし、さらに計算を誤った場合の値。条文は2 000分の1。
  • (2)1.429 は 714.3/1 000 の値。(ア)を1 000分の1と取り違えている。
  • (3)(ア)の1 500分の1という規定は電技に存在しない。
  • (4)正しい。最大供給電流 75 000/105 ≈ 714.3 A、その2 000分の1で約0.357 A。
  • (5)0.179 は0.357をさらに2で割った値。単相2線式でも1線当たりの許容値は0.357 A。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

漏えい電流の管理は、データセンターの保安管理でとくに扱いの難しいテーマになる。理由は、**IT機器そのものが漏れ電流を出す**から。 サーバやスイッチの電源には、高周波ノイズを大地へ逃がすためのYコンデンサが入っている。これは故障ではなく設計であり、1台あたり0.5〜1 mA程度の漏れ電流が常時流れる。ラックに40台載せれば数十mA、フロア全体では数Aの規模になる。この問題の0.357 Aという値が、サーバ数十台ぶんの正常な漏れ電流で埋まってしまう、という感覚を持っておくとよい。 そのため実務では、絶縁が悪化しているのか正常な漏れなのかを切り分ける必要がある。使われるのが **I0r(アイゼロアール)測定**で、漏れ電流のうち対地静電容量を通る成分(I0c)を除き、絶縁抵抗を通る成分だけを取り出す方式。低圧電路の絶縁監視装置(Igr方式)も同じ考え方で、DCのように静電容量成分が大きい設備では、単純な漏れ電流の大小では判断できない。 また、電技第58条の絶縁抵抗値(対地電圧150 V以下で0.1 MΩ以上など)を測るには停電が必要だが、DCは止められない。そこで無停電で測れるこの漏えい電流の規定と絶縁監視装置に頼ることになる。「止められない設備をどう法令に適合させるか」という問いの答えが、この条文の使い方そのものになっている。

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