令和7年度 下期 法規 問11
棒状接地極の接地抵抗を100Ω以下にする長さと、接地抵抗計の電極配置


出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 下期 第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
**(a) 必要な接地極の長さ**
与えられた②式に数値を入れて、ln(x)/x が満たすべき値を出し、図2から x を読む。
R = (2ρ/(πd)) × ln(x)/x ≤ 100
係数の部分を先に計算する。 2ρ/(πd) = 2 × 150 / (π × 14×10⁻³) = 300 / 0.04398 ≈ 6 821
したがって ln(x)/x ≤ 100 / 6 821 ≈ 0.01466
図2で ln(x)/x が0.01466になるのは x ≈ 410 付近。これより x を大きくすれば条件を満たす。
x = 4L/d より L = xd/4 なので L ≥ 410 × 0.014 / 4 ≈ 1.44 m
選択肢のうちこれを満たす最小の値は**1.5 m**。したがって正解は(4)。
検算しておくと、L = 1.5 m のとき x = 4×1.5/0.014 ≈ 429、図2から ln(x)/x ≈ 0.0141 で R ≈ 6 821 × 0.0141 ≈ 96 Ω ≤ 100 Ω。L = 1.2 m なら x ≈ 343、ln(x)/x ≈ 0.0170 で R ≈ 116 Ω となり条件を満たさない。
**(b) 接地抵抗計の電極配置**
直読式接地抵抗計(3電極法)では、被測定接地極 E、電圧用補助電極 S、電流用補助電極 H を**ほぼ一直線に、約10 m間隔で**配置する。順序は E — S — H で、E から S、S から H をそれぞれ約10 m取る。
したがって正解は(4)。
この配置には理由がある。E に電流を流すと E の周りの大地の電位が上がるが、十分離れれば電位が平坦になる領域(電位の傾きがない場所)ができる。S をその平坦な領域に置くことで、E の真の電位を測れる。S が E や H に近すぎると、互いの電位分布が重なって測定値が実際より大きくなったり小さくなったりする。(3)(5)のように間隔が2 m程度しかない配置や、(1)(2)のように三角形に置く配置では、この条件を満たせない。
選択肢ごとの理由
- (1)(a)0.7 mでは x ≈ 200 となり ln(x)/x ≈ 0.0265、R ≈ 181 Ωで100 Ωを超える。(b)も三角配置で不適切。
- (2)(a)1.0 mでは x ≈ 286、R ≈ 135 Ωで条件を満たさない。
- (3)(a)1.2 mでは x ≈ 343、R ≈ 116 Ωでまだ100 Ωを超える。
- (4)正しい。(a) L = 1.5 mで x ≈ 429、R ≈ 96 Ω ≤ 100 Ω。(b) E—S—H を一直線に約10 m間隔で配置する。
- (5)(a)2.0 mでも条件は満たすが、問われているのは最小の長さ。1.5 mで足りる。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
接地抵抗の測定は、データセンターの年次点検で必ず行う項目だが、**都市部のDCでは測れないことが多い**という現実がある。 3電極法は補助電極を10 mずつ離して打ち込む必要があるが、都心のビルは周囲がアスファルトとコンクリートで、電極を刺す土がない。そこで実際には、①建設時に測定した値を記録として保管する ②建物の鉄骨・基礎を利用した接地(構造体接地)は個別に測れないため、代わりに接地線の導通を確認する ③クランプ式接地抵抗計を使う、といった方法が取られる。 クランプ式は接地線を挟むだけで測れるので停電も補助電極も不要だが、**多点接地(他にも接地されている経路がある)でないと正しく測れない**という制約がある。単独接地では使えない。この違いを理解せずに数字だけ見ると、実際より低い値を「良好」と誤読する。 (a)の計算が示しているのは、**接地極は長くするほど効く**ということ。土壌抵抗率が高い場所では、太さを増すより深く打つほうが効率がよい(式の分母にLがあり、対数の中にもLがある)。それでも足りなければ、接地極を複数打って並列にする、深井戸接地にする、接地抵抗低減剤を使う、といった手段になる。DCは雷サージ対策と等電位化のために低い接地抵抗を要求されるので、建設時にここへ相応の費用をかけている。
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