令和7年度 上期 電力 問7

分散型電源の配電系統連系(誤りを1つ選ぶ・逆潮流時の力率)

電力A問題配点 5点
令和7年度 上期 電力 問7 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

誤りは(3)の「受電点の力率は系統側から見て**進み**力率とする」。正しくは**遅れ力率**である。正解は(3)。

理屈を電圧の式で追うと分かる。配電線の電圧降下は、線路の抵抗Rとリアクタンスをxとして、おおよそ ΔV ≒ (RP + xQ)/V で表せる。分散型電源が逆潮流すると有効電力Pの向きが逆になり、ΔVが負(=送り出し側より受電点のほうが電圧が高い)になって電圧が上がる。

これを打ち消すには、**Qの符号を電圧が下がる向きにする**。つまり分散型電源側で無効電力を消費する運転にすればよい。無効電力を消費する=遅れ力率である。系統連系規程でも、逆潮流ありの連系では受電点の力率を**系統側から見て遅れ(85%以上)**とし、**進み力率としてはならない**と定めている。

進みにしてしまうと無効電力を系統へ送り出すことになり、電圧上昇をさらに後押しする。抑制したいのに逆に押し上げる、という向きの取り違えがこの問題の狙いである。

残る4つは正しい。(1)は逆潮流で電圧が上がるという現象そのもの、(2)はパワーコンディショナが出す高調波への対策、(4)は容量が大きいときの系統側の増強、(5)は他の需要家の電圧を守るためのSVR設置で、いずれも現場で実際に行われている対応である。

選択肢ごとの理由

  • (1)正しい。逆潮流が増えると配電用変圧器を逆向きに電力が流れ、配電線の末端側で電圧が上がることがある。太陽光の多い地域で実際に起きている。
  • (2)正しい。太陽光も燃料電池もインバータ(パワーコンディショナ)で系統に連系するため、スイッチングに伴う高調波電流が出る。フィルタで系統への流出を抑える。
  • (3)これが誤り。電圧上昇を抑えるには無効電力を消費する側=遅れ力率にする。進み力率にすると電圧上昇をかえって助長する。
  • (4)正しい。容量が大きい電源は既設の配電線に収まらないことがあり、専用線での連系や負荷分割といった系統側の工事が必要になる。
  • (5)正しい。逆潮流で他の低圧需要家の電圧が適正範囲(101±6V等)を外れる場合、ステップ式自動電圧調整器(SVR)で調整する。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

データセンターは電気を大量に使う側だが、屋上の太陽光や非常用発電機を持つと、系統に電気を返す側にも回りうる。そこで出てくるのがこの連系のルールである。 非常用発電機の月次試験を「系統に並列したまま」行う場合、その瞬間だけ発電機が系統とつながる。逆潮流を出さない前提(逆潮流なしの連系)でも、系統連系保護装置(逆電力継電器・不足電圧継電器・周波数継電器など)が要る。試験のたびに保護が正しく働くかを確かめるのは、系統側の他の需要家を守るためでもある。 力率の話は逆潮流がなくても効いてくる。データセンターの受電点力率は、電気料金の力率割引に直結する。進相コンデンサを入れて力率を100%に近づけるのが基本だが、**夜間など負荷が軽いときにコンデンサを入れっぱなしにすると進み力率になり、受電点の電圧が上がる**。この問題が言っている向きとまったく同じ現象で、電力会社から是正を求められることがある。負荷に応じてコンデンサを段階的に入り切りする自動力率調整装置が付いているのはこのためである。 もうひとつ、(2)の高調波はデータセンターの本丸と言ってよい。サーバの電源もUPSもすべてスイッチング電源で、第5・第7高調波を出す。これが変圧器の過熱や進相コンデンサの焼損を招くため、直列リアクトルやアクティブフィルタで抑える。「電気を作る側の話」に見えて、実は自分の設備の話である。

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