令和7年度 上期 電力 問6
ガス絶縁開閉装置(GIS)の性質(誤りを1つ選ぶ)

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
GISは、遮断器・断路器・母線といった充電部を金属容器に収め、中をSF6ガスで満たした開閉装置。ここで問われているのは「そのガスがどんな状態で入っているか」である。
誤りは(3)の「**大気圧以下**のSF6ガス」。実際のGISは、SF6を**0.3〜0.5MPa程度に加圧して**封入している。正解は(3)。
なぜ加圧するのか。気体の絶縁耐力は圧力にほぼ比例して上がる(パッシェンの法則の、圧力が高い側の領域)。SF6は大気圧でも空気の約3倍の絶縁耐力を持つが、それだけでは装置を小さくできない。加圧して初めて、気中絶縁なら何メートルも要る離隔を数十センチに詰められる。GISが小形化できる理由は「SF6を使ったから」ではなく「SF6を加圧して使ったから」である。
加圧されているということは、**抜ける方向に漏れる**ということでもある。だからGISにはガス密度継電器が付いていて、圧力(正確には温度補正した密度)が下がったら警報を出し、さらに下がれば遮断器の操作をロックする。「大気圧以下」と書かれた選択肢に違和感を持てるかは、この監視装置の存在を知っているかとつながっている。
他の4つは正しい記述で、いずれもGISの実務でそのまま出てくる内容である。とくに(4)の金属異物は、GISの事故原因として実際に多い。容器内に数ミリの金属片が残っていると、電界で動いて充電部に近づき、絶縁を壊す。
選択肢ごとの理由
- (1)正しい。SF6の高い絶縁耐力を加圧して使うことで離隔を詰められ、変電所の体積・面積を大幅に小さくできる。都市部や地下変電所で使われる理由がこれ。
- (2)正しい。SF6は強力な温室効果ガス(CO2の約23 900倍)なので、保守や廃棄の際は大気へ放出せず回収する運用になっている。
- (3)これが誤り。GISのSF6は大気圧以下ではなく、0.3〜0.5MPa程度に加圧して封入する。加圧して初めて小形化できる。
- (4)正しい。容器内に金属異物が残ると電界で移動して絶縁性能を落とすため、製造・据付時の異物管理が重要になる。
- (5)正しい。充電部を容器の中で支えるスペーサにはエポキシ樹脂が使われる。絶縁と機械的支持を兼ねる部品。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
大規模なデータセンターは特別高圧で受電するため、受変電設備にGISが入ることがある。都市部の案件で敷地が取れない場合はとくにそうで、気中絶縁の開閉所なら数百平方メートル要るところを、GISなら数十平方メートルに収まる。土地代の高い場所ほどGISが選ばれる。 電気主任技術者の日常業務としては、**ガス圧(密度)の監視**が中心になる。圧力計の指示は温度で動くので、外気温の変化による見かけの上下と、本当の漏れを切り分ける必要がある。ガス密度継電器の警報段とロック段が何MPaに設定されているかは、引き継ぎで必ず確認する項目である。 もうひとつ、データセンターの環境報告で効いてくるのがSF6の温室効果。SF6の漏えいは自社の直接排出(Scope1)に計上され、CO2換算で23 900倍の係数が掛かる。1kg漏れれば約24トンのCO2に相当し、これは乗用車10台分の年間排出に近い。PUEやRE100といった電力側の指標ばかりが話題になるが、GISを持っているデータセンターでは、ガスの管理そのものが環境数値の管理でもある。年次点検でのガス漏えい率の測定は、設備保全であると同時に開示のための作業になっている。
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