令和7年度 上期 電力 問15

流況曲線と調整池(1日の運転時間から最大使用流量・貯水量・有効貯水容量を出す)

電力B問題配点 10点
令和7年度 上期 電力 問15 の問題文令和7年度 上期 電力 問15 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

正解
(a)(5)
(b)(5)

正解の出典:同センターが公表している解答

解説

「1日に川から入ってくる水の量は決まっている。それを短い時間に集中して使う」という発想で解く。

**(a) 渇水量8 m³/s で1日6時間運転**

*最大使用流量* 1日に流入する水の総量は、8 m³/s × 86 400 s = **691 200 m³**。 これを6時間(=21 600秒)で使い切るのだから、 691 200 ÷ 21 600 = **32.0 m³/s**

*貯水量* 運転しない18時間ぶんの流入が、そのまま調整池に溜まる。 8 × 18 × 3 600 = **518 400 m³**

最大使用流量32.0、貯水量518 400。(a)の正解は(5)。

検算として、6時間で使う量 32.0 × 21 600 = 691 200 m³ が1日の流入量と一致することを見ておくとよい。溜めた518 400 m³ に、運転中の6時間に入ってくる 8×21 600 = 172 800 m³ を足すと 691 200 m³ になる。

**(b) 200日以上発生する流量で、1日8時間運転**

まず流況曲線を読む。横軸200日のところで縦軸を読むと**14 m³/s**。これが「200日以上発生する流量」である。

運転中の8時間は、使う量が入ってくる量を上回る。その差が調整池から持ち出される分で、これが必要な有効貯水容量になる。

(32.0 − 14) × 8 × 3 600 = 18 × 28 800 = **518 400 m³**

問われているのは「これを満たす**最も小さい**選択肢」なので、518 400 以上でいちばん小さい値を選ぶ。420 000・440 000・460 000・500 000 はいずれも足りない。**520 000** が答えになる。(b)の正解は(5)。

(b)は数字そのものより、**流況曲線の読み方**と**「最も小さいもの」という問われ方**の2点で差がつく。計算値ちょうどの選択肢は用意されておらず、それ以上で最小のものを選ぶ形になっている。

選択肢ごとの理由

  • (1)(a)の22.8、(b)の420 000ともに誤り。(a)は1日の流入量691 200m³を6時間で割る。(b)は計算値518 400m³を下回るので容量不足。
  • (2)(a)の28.8は、24時間ぶんではなく別の時間で割った場合の値。(b)の500 000も518 400m³に届かない。
  • (3)(a)の34.8になる筋道はない。(b)の440 000も容量不足。
  • (4)(a)の使用流量と(b)の容量がいずれも誤り。(b)の460 000は518 400m³を下回る。
  • (5)正しい。(a)は8×86 400÷21 600 = 32.0 m³/s、貯水量は8×18×3 600 = 518 400 m³。(b)は(32.0−14)×8×3 600 = 518 400 m³ 以上で最小の520 000。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

調整池式水力がやっていることは、**安い時間に溜めて、要るときに集中して出す**というピークシフトそのものである。データセンターでは、これを電気と熱の2つの形でやっている。 **電気のピークシフト:蓄電池** 近年は、UPS用の蓄電池を非常用としてだけでなく、需要のピークを削る目的でも使う構成が出てきた。契約電力は30分単位の最大需要で決まるため、ピークの30分だけ蓄電池から放電できれば基本料金が下がる。調整池の「6時間だけ32 m³/s で運転する」という考え方と同じで、平均ではなく**最大をどう抑えるか**の勝負になる。 **熱のピークシフト:蓄熱槽** 夜間の安い電力で氷や冷水を作って溜めておき、昼間のピークに使う氷蓄熱システムがこれにあたる。冷凍機の容量をピークに合わせて選ばずに済むので、設備費と契約電力の両方が下がる。有効貯水容量を求めた(b)の計算は、蓄熱槽の必要容量を出す計算と構造が同じである。「ピーク時に不足する分×継続時間」が要る容量になる。 そして(b)で「計算値ちょうど」ではなく「それ以上で最小」を選ばせているのも実務的である。蓄電池も蓄熱槽も、計算値ぴったりでは余裕がない。放電深度の制限、経年劣化、想定外の延長を見込んで、計算値より一段上の容量を選ぶ。この問題の選び方は、そのまま設備選定の作法になっている。

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