令和7年度 上期 電力 問11

100/200V単相3線式配電方式(誤りを1つ選ぶ・バランサを置く場所)

電力A問題配点 5点
令和7年度 上期 電力 問11 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

誤りは(3)の「バランサは、**電源の近く**に設ける方が効果が大きい」。正しくは**負荷側(末端)**に設けるほうが効果が大きい。正解は(3)。

バランサは巻数比1:1の単巻変圧器で、単相3線式の末端に入れて2つの回路の電圧を均す装置である。

なぜ末端なのかは、中性線に流れる電流がどこを通るかを考えると分かる。両側の負荷が不平衡だと、その差の電流が中性線を流れる。バランサを負荷の近くに置けば、この不平衡電流はバランサと負荷の間の短い区間だけを流れ、電源までの長い線路には出てこない。結果として線路の電圧降下の差が小さくなり、電圧不平衡と損失が減る。

逆に電源の近くに置くと、不平衡電流は線路を丸ごと流れてから打ち消されることになり、線路での電圧降下の差がそのまま残る。つまり、**不平衡を打ち消すなら、不平衡が生まれている場所の近くで打ち消す**のが原則である。

他の4つは正しい。(1)は外側2線間から200Vが取れること、(2)は同じ電力を送るのに必要な銅量が単相2線式より少ないこと(条件をそろえると37.5%)、(4)は負荷の偏りによる電圧の不平衡、(5)は中性線が切れたときに異常電圧が出ることで、いずれも単相3線式の基本的な性質である。

とくに(5)は重要で、中性線が断線すると2つの100V回路が200Vに直列接続された形になり、負荷の軽いほうに200Vに近い電圧がかかる。だから**単相3線式の中性線にはヒューズや開閉器を入れてはいけない**という施工上の決まりがある。

選択肢ごとの理由

  • (1)正しい。外側の2線間には200Vが現れるので、単相200Vのエアコンやヒーターが使える。これが単相3線式を使う主な動機のひとつ。
  • (2)正しい。同じ配電容量・同じ電圧降下で比べると、単相3線式の所要銅量は100V単相2線式の37.5%で済む。
  • (3)これが誤り。バランサは負荷側(末端)に置くほうが効果が大きい。電源側に置くと不平衡電流が線路を長く流れてしまう。
  • (4)正しい。両側の負荷が等しくないと中性線に電流が流れ、線路の電圧降下に差が出て負荷電圧が不平衡になる。
  • (5)正しい。中性線が断線すると2つの100V負荷が直列になり、軽負荷側に過大な電圧がかかる。中性線に開閉器やヒューズを設けてはならない理由がこれ。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

単相3線式そのものはデータセンターの建屋設備(事務室・照明・コンセント)側の話だが、**中性線にまつわる事故**という点では、サーバ室の三相4線式配電が同じ問題を抱えている。 サーバの電源はすべてスイッチング電源で、**第3高調波**を大量に出す。三相4線式では、基本波の電流は三相が平衡していれば中性線で打ち消されるが、第3高調波(および3の倍数次)は3相とも同相になるため打ち消されず、**中性線で足し算になる**。結果として、相電流より中性線電流のほうが大きい、という状態が起こりうる。 これが怖いのは、中性線には過電流保護を入れないのが原則だからである。相線はブレーカで守られているが、中性線が過熱しても誰も切ってくれない。だからデータセンターの幹線設計では、**中性線を相線と同等かそれ以上の太さにする**(倍サイズ中性線)という考え方を取る。 そして「中性線が切れると異常電圧が出る」という(5)の性質も、そのまま当てはまる。三相4線式で中性線が外れると、各相の負荷の軽重に応じて相電圧が偏り、軽負荷側の機器に線間電圧に近い電圧がかかってサーバ電源が一斉に壊れる。実際に起きた事故として報告されているパターンで、**分電盤の中性線端子の増し締め**が定期点検の項目に入っているのはこのためである。サーモグラフィで端子部の温度を見るのも、緩みの前兆を拾うためである。

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