令和7年度 上期 電力 問17

負荷追加後の無効電力と、変圧器の過負荷を避けるのに必要なコンデンサ容量

電力B問題配点 10点
令和7年度 上期 電力 問17 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 電力科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

正解
(a)(4)
(b)(4)

正解の出典:同センターが公表している解答

解説

有効電力Pと無効電力Qを別々に足し、最後に三平方の定理で皮相電力Sに戻す。この順序を崩さないこと。

**(a) 追加後の無効電力**

力率 cosθ から tanθ を出し、P に掛けると Q が出る。

*元の負荷*:P₁ = 500 kW、cosθ₁ = 0.9 sinθ₁ = √(1 − 0.9²) = √0.19 = 0.4359 tanθ₁ = 0.4359 / 0.9 = 0.4843 Q₁ = 500 × 0.4843 = **242.2 kvar**

*追加の負荷*:P₂ = 200 kW、cosθ₂ = 0.8 tanθ₂ = 0.6 / 0.8 = 0.75 Q₂ = 200 × 0.75 = **150 kvar**

どちらも遅れ力率なので、無効電力は単純に足せる。 Q = 242.2 + 150 = **392.2 kvar** ≒ 392

(a)の正解は(4)。

**(b) 必要なコンデンサ容量**

*手順1:いまの皮相電力を出して、過負荷かどうかを確かめる。* P = 500 + 200 = 700 kW、Q = 392.2 kvar S = √(700² + 392.2²) = √(490 000 + 153 821) = √643 821 = **802.4 kV·A**

変圧器は750 kV·A なので、**52 kV·A ぶん過負荷**である。

*手順2:S を 750 に収めるために必要な Q を逆算する。* コンデンサは有効電力を変えず、無効電力だけを打ち消す。コンデンサ設置後の無効電力を Q' とすると

700² + Q'² = 750² Q'² = 562 500 − 490 000 = 72 500 Q' = √72 500 = **269.3 kvar**

*手順3:差がコンデンサの容量。* Qc = 392.2 − 269.3 = **122.9 kvar** ≒ 123

(b)の正解は(4)。

つまずきやすいのは、**コンデンサ容量を「無効電力の全部」と考えてしまう**こと。力率を1にする必要はなく、変圧器の容量に収まるところまで減らせばよい。Qを全部消す(392 kvar)のは過剰で、選択肢にもそれらしい値は置かれていない。「どこまで減らせば足りるか」を先に決めるのがこの問題の筋である。

選択肢ごとの理由

  • (1)(a)の472kvar、(b)の70kvarとも合わない。(a)は Q = P·tanθ を2つ足す。(b)は S を750kV·Aに収める Q' から逆算する。
  • (2)(a)の525kvarは、力率を sinθ ではなく別の扱いにした場合。(b)の256kvarも過大。
  • (3)(a)の339kvarは、追加負荷の無効電力を取り違えた場合に近い。cosθ=0.8 なら tanθ=0.75。
  • (4)正しい。(a) 500×0.4843 + 200×0.75 ≒ 392 kvar。(b) S=802.4kV·A で過負荷、Q'=√(750²−700²)=269.3 なので Qc = 392.2−269.3 ≒ 123 kvar。
  • (5)(a)の610kvarは無効電力を過大に見積もった場合。(b)の50kvarでは S が750kV·Aに収まらない。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

この問題は、データセンターで**ラックを増設するときに毎回やる計算**そのものである。 「既設の変圧器に、あと何kW載せられるか」を聞かれたとき、kW だけを足して容量と比べると必ず間違える。変圧器の定格は kV·A なので、無効電力を含めた皮相電力で見る必要がある。この問題でも、700 kW という有効電力だけ見れば750 kV·A の変圧器に収まりそうに思えるが、実際には802 kV·A で過負荷になる。 そして解決策が**変圧器の更新ではなく、進相コンデンサの追加**であるという点が実務的に大きい。変圧器を替えるには受電を止める必要があり、稼働中のデータセンターでは現実的でないことが多い。123 kvar のコンデンサを二次側に足すだけで過負荷が解消するなら、費用も工期も桁が違う。 注意点も同じように現場と重なる。 **① 力率を1にしすぎない。** 夜間など負荷が軽いときにコンデンサを入れっぱなしにすると進み力率になり、受電点の電圧が上がる。負荷に応じて段階的に入り切りする自動力率調整装置を使うのはこのためである。 **② 直列リアクトルを忘れない。** サーバ電源が出す第5高調波がコンデンサに流れ込むと、コンデンサが過熱・焼損する。容量の6%の直列リアクトルを入れて高調波を抑えるのが標準で、コンデンサ単体で発注すると後で困る。 **③ 突入電流。** コンデンサを投入する瞬間には定格の何十倍もの突入電流が流れる。直列リアクトルはこれも抑える役目を持っている。 (b)で「最小の容量」を問うているのも実務に沿っている。コンデンサは大きければよいものではなく、必要な分だけ入れるのが正しい。

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