令和7年度 下期 理論 問10

RL直列回路の過渡現象で、抵抗を2倍にしたときの波形の変化

理論A問題配点 5
令和7年度 下期 理論 問10 の問題文令和7年度 下期 理論 問10 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 下期 第三種電気主任技術者試験 理論科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

解説

スイッチを閉じた直後のコイルの電流は i_L = (V/R)(1 − e^(−t/τ))、時定数 τ = L/R という形で、最終値に向かって指数関数的に立ち上がる。

**図2から読み取る** R = 1 Ω のとき最終値が 3 A なので V/R = 3、つまり V = 3 V。 グラフは t = 1 s あたりで最終値の約63%(1.9 A)に達しているので τ = 1 s。τ = L/R = L/1 なので L = 1 H。

**R = 2 Ω にすると** ・最終値: V/R = 3/2 = 1.5 A → **半分になる** ・時定数: τ = L/R = 1/2 = 0.5 s → **半分になる=立ち上がりが速くなる**

つまり実線は、点線より低い1.5Aで頭打ちになり、しかも点線より速くそこに達する。この2つを同時に満たすのは(4)。

混同しやすいのは「抵抗が大きい=流れにくい=ゆっくり」と考えてしまうこと。最終値は確かに小さくなるが、時定数 L/R は抵抗が大きいほど**小さく**なるので、立ち上がりは**速くなる**。ここが逆転している選択肢が(5)。

選択肢ごとの理由

  • (1)最終値が3Aのまま変わっていない。R を2倍にすると最終値 V/R は半分になる。
  • (2)最終値が下がり、かつ立ち上がりも遅くなっている。時定数 L/R は抵抗が大きいほど小さくなる。
  • (3)最終値が3Aのまま。立ち上がりだけ速くなっている点は正しいが、最終値が合わない。
  • (4)正しい。最終値 1.5 A(半分)、時定数 0.5 s(半分=速い立ち上がり)。
  • (5)最終値1.5Aは正しいが、立ち上がりが点線より遅くなっている。抵抗を大きくすると時定数は小さくなる。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

「コイルの電流はすぐには立ち上がらない」という性質は、データセンターの機器を投入するときの**突入電流**として現れる。 変圧器やUPS、PDU(電源分配ユニット)を投入した瞬間には、定格の何倍もの電流が短時間だけ流れる。この波形の形と続く時間を決めているのが、まさに回路の時定数 L/R。時定数が大きいほど大きな電流が長く続き、上位のブレーカが「短絡が起きた」と判断して落ちる。 DCでは無停電が前提なので、これは笑えない事故になる。だから対策として、投入時だけ抵抗を挟んでから短絡する突入電流抑制回路を入れたり、機器を一斉ではなく時間差で投入したり、上位ブレーカを瞬時引外しではなく短限時特性のものにしたりする。停電復電後に全部の機器が同時に立ち上がって落ちる、という事故を避けるための設計。 もう一つ、短絡事故のときに流れる電流にも直流分が重なり、その減衰の速さがやはり L/R で決まる。遮断器の選定でX/R比が問われるのは、この時定数の話。

合格したあとの話

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