令和7年度 上期 法規 問6
低圧架空引込線の電線の太さ(径間15m以下の緩和)

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
電気設備技術基準の解釈**第116条**(低圧架空引込線等の施設)の数値問題。
> 低圧架空引込線は、電線にケーブルを使用する場合を除き、引張強さ**2.30kN**以上のもの又は直径**2.6mm**以上の硬銅線を使用すること。ただし、径間が**15m**以下の場合に限り、引張強さ**1.38kN**以上のもの又は直径**2mm**以上の硬銅線を使用することができる。
(ア)2.6、(イ)15、(ウ)2.0。正解は(2)。
問題文は引張強さ(2.30kN・1.38kN)を与えてくれているので、**それと対になる直径を覚えているか**が問われている。ここは対応表として押さえる。
| 引張強さ | 硬銅線の直径 | |---|---| | 2.30 kN | 2.6 mm | | 1.38 kN | 2.0 mm |
この対応は電気工事士試験でも繰り返し出る組み合わせで、**2.30kN ↔ 2.6mm** をひとかたまりで覚えておくと、他の条文(低圧架空電線の太さなど)でも使える。
**(イ)の15m**が緩和の条件である。短い径間なら電線にかかる張力も小さいので、細い線でもよいという趣旨。20mや50mといった選択肢が並んでいるが、**引込線の緩和は15m**。
迷ったときの考え方として、**原則が太く、例外が細い**という向きを先に決めるとよい。(ア)が原則(2.6mm)で(ウ)が例外(2.0mm)なので、(ア) > (ウ) でなければならない。この関係を満たさない組み合わせは、その場で消せる。
なお、この規定は**ケーブルを使う場合には適用されない**(条文の「ケーブルを使用する場合を除き」)。実際の低圧引込みはDV線(引込用ビニル絶縁電線)やケーブルが主流なので、裸の硬銅線の規定が問われるのは試験特有ともいえる。ただし引張強さの考え方自体は、支持物の強度計算につながっている。
選択肢ごとの理由
- (1)(ウ)の1.6mmは屋内配線の最小太さとしてよく出る数字だが、引込線の緩和後の値は2.0mm。
- (2)正しい。原則は2.6mm(2.30kN)以上、径間15m以下に限り2.0mm(1.38kN)以上とできる。
- (3)(ア)3.2mm・(イ)20m・(ウ)2.6mmはいずれも条文と異なる。原則の2.6mmと緩和の15mを押さえる。
- (4)(ア)4.0mm・(イ)50mは高圧架空電線などの数値と混同した場合。低圧引込線の緩和条件は15m。
- (5)(ア)5.0mm・(イ)50m・(ウ)4.0mmとも過大。低圧引込線にこれほどの太さは要求されない。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
低圧架空引込線そのものは、大規模なデータセンターでは主役ではない(高圧・特別高圧で受電し、構内は地中埋設が基本)。しかし**構内の付帯設備**では現役である。 - 守衛所・ゲート設備への電源 - 屋外の照明柱・監視カメラ柱 - 仮設の工事用電源 - 冷却塔や発電機の屋外制御盤 これらへ短い径間で架空配線することがあり、そのとき「15m以下なら細くてよい」という緩和が実際に使われる。 実務で押さえたいのは、**この条文が電線の太さを電気的な理由(許容電流)ではなく、機械的な理由(引張強さ)で決めている**という点である。 電線の太さを決める要素は3つある。 1. **許容電流**:流れる電流に対して発熱が許容範囲か 2. **電圧降下**:末端の電圧が規定内に収まるか 3. **機械的強度**:自重・風圧・積雪・氷雪に耐えるか 架空配線では③が効いてくる。負荷が数百Wの監視カメラでも、電流だけで決めれば細い線で足りるが、風で揺れて断線しては意味がない。だから最小太さが法令で決められている。 データセンターの構内で起きやすいのは、**仮設電源の引き回し**である。工事のたびに仮設のケーブルが張られるが、径間が長いのに支持が甘い、たるみが大きくて車両が引っかける、といった状態になりやすい。仮設であっても電気設備技術基準は適用されるので、工事の受け入れ時に確認する項目に入れておく。 「電気的には足りているのに、機械的に足りない」という失敗は、この条文を知っていれば避けられる。
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