令和7年度 上期 法規 問13
太陽光発電の余剰送電量と、自家消費による自給率

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)
解説
グラフから**発電が消費を上回っている区間**を見つけ、その面積を足す問題。
**準備:発電電力を式にする**
6時から12時まで直線的に0→600kW、12時から18時まで直線的に600→0kW。傾きはどちらも100kW/h なので
- 6 ≦ t ≦ 12:P = 100(t − 6) - 12 ≦ t ≦ 18:P = 100(18 − t)
**(a) 系統に送電した電力量**
消費電力と比べて、発電が上回る区間を区切っていく。
**6〜10時(消費100kW)** P = 100(t−6) が100を超えるのは t > 7。 7〜10時の余剰は三角形で、底辺3時間・高さは t=10 のとき 400−100 = 300kW。 面積 = 3 × 300 / 2 = **450 kW·h**
**10〜12時(消費300kW)** t=10 で P=400、t=12 で P=600。どちらも300を超えている。 余剰は t=10 で100、t=12 で300 の台形。 面積 = (100 + 300)/2 × 2 = **400 kW·h**
**12〜17時(消費300kW)** P = 100(18−t) が300を超えるのは t < 15。 12〜15時の余剰は、t=12 で300、t=15 で0 の三角形。 面積 = 3 × 300 / 2 = **450 kW·h** 15〜17時は発電が消費を下回るので余剰なし。
**17〜18時(消費400kW)** P は100以下まで落ちているので余剰なし。
合計 = 450 + 400 + 450 = **1 300 kW·h**
正解は(2)。
**(b) 自給率**
*消費電力量の合計* - 0〜10時:100 × 10 = 1 000 - 10〜17時:300 × 7 = 2 100 - 17〜21時:400 × 4 = 1 600 - 21〜24時:100 × 3 = 300 合計 = **5 000 kW·h**
*発電電力量の合計* 6時から18時までの三角形。 (1/2) × 12 × 600 = **3 600 kW·h**
*自家消費した量* 発電したうち、系統へ送った1 300を引いた残りが自家消費分。 3 600 − 1 300 = **2 300 kW·h**
*自給率* 2 300 / 5 000 = 0.46 = **46%**
正解は(3)。
(b)でいちばん多い誤りは、**発電量そのものを消費量で割ってしまう**こと(3 600/5 000 = 72%)。問われているのは「発電した電力量により**自給した**比率」なので、**系統へ逃がした分は自給に入らない**。発電したのに使えなかった分を差し引くのがこの問題の主眼である。
選択肢ごとの理由
- (1)(a)900kW·hは3つの区間のうち1つを落とした場合。6〜10時・10〜12時・12〜15時の3つを足す。
- (2)(a)が正しい。450 + 400 + 450 = 1 300 kW·h。
- (3)(b)が正しい。自家消費 = 3 600 − 1 300 = 2 300、2 300/5 000 = 46%。
- (4)(a)2 200kW·hは消費電力を引かずに発電量の一部をそのまま足した場合に近い。余剰は発電−消費。
- (5)(a)3 600kW·hは発電電力量そのもの。全部を送電したわけではなく、大半は自家消費している。
この論点は、データセンターの現場でこう出てくる
この問題が扱っている「**発電したのに使えず系統へ逃がす**」という構造は、データセンターに太陽光を載せるときの中心的な論点である。 ショッピングセンターは夜間の消費が小さいので、昼のピークに発電が余る。**データセンターは逆で、24時間ほぼ一定の消費がある**。1MWのデータセンターに500kWの太陽光を載せても、昼間の消費が1MWあるので余剰はまず出ない。発電した分はすべて自家消費できる。 これは太陽光との相性としては**非常によい**。売電価格より買電価格のほうが高い現在の状況では、自家消費できる割合(この問題でいう自給率)が高いほど経済性が上がる。ショッピングセンターの46%に対し、データセンターなら100%近くになりうる。 一方で、**自給率の分母が大きすぎる**という問題がある。この問題では消費5 000kW·hに対して発電3 600kW·hと同じオーダーだが、データセンターは屋根面積に対して消費が桁違いに大きい。 概算すると、屋上に載せられる太陽光は 1 000 m² あたり約150kW。年間発電量は 1kWあたり約1 000kW·h なので、1 000 m² の屋上で年間15万kW·h。一方、1MWのデータセンターは年間約876万kW·h を消費する。**屋根いっぱいに敷いても2%に届かない**。 だからデータセンターの再エネ調達は、屋上の自家発電ではなく - **コーポレートPPA**(遠隔地の発電所と長期契約) - **非化石証書・再エネ電力メニューの購入** が主役になる。屋上の太陽光は、量としては小さくても**BCPの一部**(停電時に一部負荷をまかなう)や**対外的な姿勢の表明**としての意味が大きい。 **計算の考え方そのものは、蓄電池の検討でも使う。** 「余った分を溜めて、足りない時間に使う」とすれば自給率が上がる。この問題の1 300kW·hを溜められる蓄電池があれば、自給率は46%から (2 300+1 300)/5 000 = 72% まで上がる。蓄電池の容量をいくつにすべきかは、まさにこの余剰量の計算から出てくる。
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