令和7年度 上期 法規 問11

流況曲線から年間可能発電電力量と設備利用率を求める

法規B問題配点 13点
令和7年度 上期 法規 問11 の問題文

出典:一般財団法人 電気技術者試験センター 令和7年度 上期 第三種電気主任技術者試験 法規科目 問題(問題文・選択肢は改変せず、公開PDFの該当ページをそのまま掲載しています)

正解
(a)(3)
(b)(5)

正解の出典:同センターが公表している解答

解説

**まず渇水量と最大使用水量を確定させる**。ここが出発点になる。

**準備:使用水量の上限を出す**

流量曲線は、d ≧ 90 の部分が Q = −0.05d + 25.5。渇水量は「1年のうち355日は確保できる水量」なので d = 355 を入れる。

Q渇水 = −0.05 × 355 + 25.5 = −17.75 + 25.5 = **7.75 m³/s**

最大使用水量はその2倍。

Q最大 = 2 × 7.75 = **15.5 m³/s**

**準備:出力の係数を出す**

P = 9.8 × Q × H × η = 9.8 × Q × 90 × 0.8 = **705.6 Q [kW]**

**(a) 年間可能発電電力量**

使用できる水量は「河川の流量」と「最大使用水量15.5」の小さいほう。流量が15.5になる日を求めると

−0.05d + 25.5 = 15.5 → 0.05d = 10 → **d = 200日**

つまり、

- **0〜200日**:流量が15.5以上あるので、15.5で頭打ち - **200〜365日**:流量そのもの(−0.05d + 25.5)を使う

年間の水量(m³/s·日)を面積として出す。

① 0〜200日:15.5 × 200 = **3 100** ② 200〜365日:台形の面積。両端の流量は  d=200 で 15.5、d=365 で 7.25  (15.5 + 7.25) / 2 × 165 = 11.375 × 165 = **1 876.9**

合計 = 3 100 + 1 876.9 = **4 976.9 [m³/s·日]**

電力量に直す(1日 = 24時間)。

W = 705.6 × 4 976.9 × 24 = **84 280 000 kWh ≒ 84.3 GW·h**

正解は(3)。

**(b) 設備利用率**

設備利用率 = 実際の発電電力量 ÷ 最大出力で1年間フル運転した場合の電力量。

最大出力 = 705.6 × 15.5 = **10 936.8 kW** 年間フル運転 = 10 936.8 × 8 760 = **95 806 000 kWh**

設備利用率 = 84 280 000 / 95 806 000 = 0.880 = **88.0%**

正解は(5)。

(b)で迷いやすいのは、分母を何にするかである。**分母は「最大出力 × 8 760時間」**であって、年間の可能発電電力量ではない。「もし1年中フルパワーで回せたら」との比を取る。

計算量は多いが、やっていることは**台形の面積**と**割り算**だけである。流況曲線の問題は、グラフを面積として見られるかで決まる。

選択肢ごとの理由

  • (1)(a)47.9GW·hは最大使用水量で頭打ちにする範囲を取り違えた場合。流量が15.5を下回るのは200日以降。
  • (2)(a)72.8GW·hは200〜365日の台形部分を落とした場合などに近い。両方の区間を足す。
  • (3)(a)が正しい。705.6×(15.5×200 + 台形1 876.9)×24 ≒ 84.3 GW·h。
  • (4)(a)94.5GW·hは全期間を最大使用水量15.5で計算した場合に近い(705.6×15.5×365×24 = 95.8GW·h)。200日以降は流量が足りない。
  • (5)(b)が正しい。84.28 GW·h ÷ (10 936.8kW × 8 760h) = 88.0%。

この論点は、データセンターの現場でこう出てくる

**設備利用率**という考え方は、データセンターの設備計画にそのまま移せる。 定義は「実際に使った量 ÷ 最大能力でフル稼働した場合の量」。水力発電で使うこの指標は、データセンターでは次の形で現れる。 **① 受電設備の負荷率** 契約電力に対して、実際の平均需要がどれだけか。データセンターは負荷がほぼ一定なので負荷率は高く(80〜95%)、この点では水力の88%と似た数字になる。負荷率が高いということは、**設備を遊ばせていない=投資効率がよい**という意味である。 一方で、負荷率が高いと**増設の余地がない**ということでもある。この問題の発電所が「最大使用水量を渇水量の2倍」に設定しているのは、設備を大きくしすぎても水が足りず遊ぶだけ、という判断である。データセンターの受電容量を決めるときの考え方と同じで、**大きければよいものではない**。 **② 冷凍機の稼働率** 冷房負荷は外気温で変わる。真夏のピークに合わせて冷凍機を選ぶと、年間のほとんどは部分負荷になり、効率の悪い領域で回すことになる。だから**台数分割**して、負荷に応じて運転台数を変える。この問題で「流量が少ない日は出力も落ちる」のと同じ構造である。 **③ 蓄電池の利用率** UPSの蓄電池は、非常用としてだけ持つと利用率はほぼ0%になる。ピークシフトやデマンドレスポンスに使えば利用率が上がり、投資の回収が早くなる。**遊んでいる設備を働かせる**という発想は、電気主任技術者が経営に提案できる数少ない領域である。 **(a)の計算の考え方も実務的**である。「能力の上限」と「実際に来る量」の小さいほうを取って積分する——これは冷却能力の年間シミュレーションとまったく同じ形をしている。外気温の年間分布(流況曲線に相当)から、外気冷房が使える時間を積分して、冷凍機を回さずに済む時間を出す。フリークーリングの効果を見積もる計算がこれである。 グラフを面積として読む力は、発電所でもデータセンターでも同じように要る。

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